「なぁなぁ! 今からよ、イルカセンセんち、寄ってみねぇ?!」
 振り返った少年が夕日に金髪を染め、青い瞳を輝かせながら提案した。




    
間引きの法則




 夕刻、Dランク任務の帰り道。
 このまま行けば、自分達の家へ辿り着く前にイルカの家の近くを通るだろうという、その道すがら。
 方向の違うサクラと分かれ、七班の男三人が微妙な距離を保ちつつ歩いている最中、不意にナルトがそう言い出した。
その表情は『これってスッゲーいい考えだろ?!』と言わんばかりだ。
(えぇッ?! おいおい、冗談だろ〜)
 途中で消えて、そのままイルカ宅にしけ込もうと思っていた上忍が内心慌てる。
「……居ないんじゃないのか?」
 ポケットに手を突っ込んだまま歩くサスケが、面倒臭そうに返す。
(やー居るんだなー、これがー)
 今日は初めからイルカ宅に寄るつもりでいた為に、カカシは事前に予定まで聞いて予告もしてあった。
 そんな日に限ってこれだ。
「んーなの行ってみりゃわかるってばよっ!」
 誰の同意も得ていないのに、この下忍はもう行く気満々でいる。既に任務中より数倍ハイテンションだ。
 カカシは、イルカと呑める嬉しさにじわじわと高まってきていた自身のテンションが、こやつに一瞬で吸われたと思った。
(折角二人だけで静かに呑めると思ったのにー…あーあ〜…)
 上忍はがっくりと項垂れて、手元の本をぱふんと力無く閉じた。



「イッルカセンセぇ〜! こんちは〜っ、オレだってばよ〜!!」
 呼び鈴も押さずに外門の木戸からナルトが叫ぶと、その無意味にバカでかい声にすぐ反応があった。
「――ナルトかぁー?」
 遠くで小さくカタン、と襖を開ける音がする。
「オッ、いたいた。うっひゃ、やったぁ。そうそう――!! 任務の帰り道だからよぉ〜! みんなで寄ってみたんだってば〜!!」
 隣では、サスケが耳が痛そうに顔を顰めている。カカシも別の意味で眉根に皺を寄せている。
 そんな中、カッカッと軽やかな下駄の音が近づいて、木目がくっきりと浮き上がった渋色の木戸が横にすらりと開いた。
「あぁいらっしゃい! カカシ先生、みんな! 任務お疲れ様!」
 途端、その「しかめつら組」の目元は自然と緩んでいた。

「…すいませんねぇ、あいつらまで呼ぶつもりはなかったんですけど…」と、中庭を歩きながらカカシが詫びると「たまには賑やかなのもいいじゃないですか」とイルカが屈託無く笑う。
 手元では手甲の付いた皮手袋を外し始めている。ここの家に来て額当てや口布を取るのは、もう条件反射みたいなものだ。
 ナルトとサスケがその様子を見て驚いているのもお構いなしに、玄関の格子戸をくぐる頃にはカカシはすっかり素面になっていた。
「…何だ、オレの顔がそんなに珍しいか?」
 つい今し方までぎゃいぎゃい言っていた部下が、急に大人しくなったので振り返ってみれば。
「…はっ…初めて、見たってばよ…、カカシせんせの…素顔…」
 こちらを指差して焦るナルトの隣では、サスケが目を見開いたまま、ただただ顔を凝視している。
 先に台所へ上がっていたイルカからも声がかかった。
「――あぁそうかぁー。お前達カカシ先生の素顔、初めて見るのか? どうだ、目茶苦茶カッコイイだろー? カカシ先生」
 そのイルカの何気ない一言に、今度は上忍が目を丸くする。直後には(今日はガキ共を連れてきて本当に良かったっ!)と心の中で握り拳を作った。
 だが、今すぐにでも台所に飛んでいってそのままイルカを押し倒したい衝動も、今のこの状況では泣く泣くぎゅうぎゅうと押さえ込まねばならない。未だ呆ける下忍らを尻目に、上忍は気の抜けた大きな溜息を一つついた。続いて仕方なく履き物を脱ごうと上がり框に腰を掛けた時。
「あ、すみません。カカシ先生は中でちょっと待ってて下さいね」
 イルカが手にザルを持って奥から現れた。
「今から裏の畑で、今夜の鍋の材料を収穫しないといけないんです」
「えっナベッ?! なべやんの? しゅうかくって、なんか取るのか?! オレもっ、オレもやりてぇ!」
 こういう時のナルトは本当に素早い。一瞬で回路が切り替わってイルカの手からザルを奪い取るや、もう裏に走っていく体制に入っている。
「あぁいいぞ、腹いっぱい食ってけ! サスケも、ほら、行くぞ」
 名を呼ばれるとサスケは「あ、あぁ…」と気の抜けたような返事をし、ようやくカカシの横顔から視線を外して後を追った。

 裏に通じる戸がガラガラと開く音がして、ぴしゃんと閉まれば、すぐにわいわいと畑で騒ぐ声が響いてくる。
 後には、上がり框に腰掛けたままの上忍が、ぽつんと取り残された。
(んーー何というかー、こうなるような気がしたんだよねぇー)
 カカシはぼんやりと脱ぎかけの履き物を見下ろす。だがイルカに会うためにやって来たのに、一人でお客様然として居間で待つなどどうにも釈然としない。何か嫌だ。ああくそ、ガキ共に独り占めされてたまるか。
 仕方なく彼等の後に続くべく立ち上がる。
(やっぱり邪魔者は追い返しておくべきだった)と、速攻前言撤回する上忍だった。




 短いけれどきれいな畝が何本も並ぶ裏の畑には、様々な種類の秋冬野菜が西日を受けながら所狭しと葉を広げていた。
「うわぁー、なんかすごくねぇ?! これってみんな先生が育てたのかよ?! なぁなぁこれってば全部食えんの?!」
「フッ、食えねぇもん畑に作ってどうすんだよ、ウスラトンカチ」
「るせぇってばよ! なぁなぁ先生〜っ!」
 またぎゃいぎゃいが始まるが、イルカは一向に頓着せずに笑っている。
 そこへ上忍ものっそりとやってきた。夕日を真正面から受けると、眩しそうに目を細める。
「さぁ、二人でこの小松菜を間引いてくれ。摘み取ったのを今日の鍋に入れるからなー」
 イルカはそれだけ言うと、花切り鋏を持ってさっさと隣の花壇へ移動してしまった。どうやら仏前に供える花を切るつもりらしい。
 言われた二人の少年は、揃って足元の緑に目を落とした。
 その半坪ほどのスペースは、一面を小松菜の苗がびっしりと覆っており、どれも十センチ前後まで青々と延びて、小さな自己主張を展開している。種を蒔いてからさほど日が経っていないとみえ、まだ蒔いた時のままの酷く混みあった状態だ。
「まびくって……なんだ? どれをどうすりゃいいんだよ…?」
 ナルトがザルを抱えたままその場にしゃがみ込む。
「間をおいて抜くんだろ? 簡単だ」
 サスケも同様に脇に屈んだ。
 その様子を、上忍が遠目に伺っている。
(へぇ〜、イルカ先生も上手いことやってるじゃない)
 カカシは子らに無関心を装いながら、花を選んではパチンと切っている中忍の方を見て、小さく微笑んだ。
 カカシも任務中によくやる手だが、一度彼等に用件を言うだけ言うと、一旦そこを離れてわざと傍観するのだ。そして子供達にどうしたら最善かをまず考えさせ、話合いをさせる。初めからは決してあれこれと答えを教えない。
 ただ、自分は下忍を訓練する事が任務なのだから、それも当然といえば当然だった。しかしイルカは、日常の生活からそれを無理なく自然にやらせようとしている。
 その普段からの教えが功を奏しているのだろうか。ナルト達は今まで散々落第させてきた下忍らと違って、不思議と考える事を嫌がらない。むしろその与えられた課題を解くのを楽しんでいる時すらある。
(これはなかなかに面白い奴等かもしれない)
 そう思った時、彼等の土台を築いた教師に興味が湧いたのも事実だった。

「お前らならその苗、どう間引く? 上手くやんないとこれからの成長が鈍ったり、下手すりゃ全滅もあり得るぞ。イルカ先生が大事に育ててる野菜なんだ、よく考えてやれ」
 上忍が後ろから悪戯っぽくプレッシャーをかけると、それを耳にした中忍が、屈めていた腰をゆっくりと上げた。真横から紅い光を受けた黒髪の男は、色とりどりの秋の花を腕に抱えながら、真っ直ぐにこちらを見ている。
 『これで、いいんですよね?』という意味で一度だけ頷いてみせると、すぐさまニッコリと微笑み返してくる姿に、またカカシの心はひとしきり揺すられるのだった。

(ハー、このまま写輪眼にコピーして、昼夜問わず眺めていたいもんだねぇ…)
 などと馬鹿なことをつらつらと考えていると。
「なぁなぁ、サスケ、お前ならどうする? オレとお前、どっちかいい方の案にしようぜ」というナルトの声が聞こえてきた。
 カカシは小さく笑いながら、額がぶつかりそうな距離で座り込んでいる部下達の背後へと、気配を消しつつそっと忍び寄った。




「…どっちか、いい方か…」
 サスケが暫し黙り込む。こんな些細な事でも「ナルトには絶対に負けねぇ」と、改めて一心に考えを巡らしているらしい。一点を見つめ、右手の親指を無意識のうちに噛んでいる。
 その指が離れると、いつもの簡潔で自信ありげな声が上がった。
「こいつらは一見するとどれも同じように見えるが、よく見れば中に特別大きくて元気のいいヤツがいくつもある。オレならそいつを適度に残して、後は全部抜く」
「えッ、ぜんぶぅ〜〜?! 全部って、全部かよォ?!」
 かなり意外そうなナルトの声が、畑に響き渡る。
「あぁ、全部だ。そうすれば、その強くて元気なヤツに今より何倍も陽が当たって栄養も回るから、そいつらは確実に最後まで大きくなれる」
「えぇ〜、そりゃそうだけどさぁー。オレはそれはちょっと違うと思うんだけどぉ〜?」
 ナルトは如何にも同意しかねるという不満げな顔付きで、異論を唱える。
 カカシは目だけ動かして、チラリとイルカのほうを見た。
 すると、もうすっかり手元が止まってしまって聞き耳を立てている中忍の姿に、思わず口元がほころんでしまう。

「なぁなぁ、オレはな、オレの考えはなっ! まず、重なったりしてこみあってる所の、一番大きなヤツから抜くわけよ」
「あァ?!」
 いきなり自分と正反対の意見を言われ、面食らったサスケが眉をひそめる。
「そしたらよ、今まで陽が当たらなかった小さな弱っちいヤツも、全部大きくなれるだろ? そんで、暫くしてそいつらが大きくなったらよ、そん時初めてそいつを抜けばいいじゃん。だからそれをどんどん繰り返してればよ、いっつも大きく育ったやつを長く食ってけるぜ? なっ、そのほうがぜってぇいいと思わねぇ?!」
 途端サスケがふん、と鼻を鳴らす。
「ウスラトンカチはこれだからな。全部を平等に生かそうなんてムシが良すぎんだよ。混み合って環境が悪きゃあ共倒れになるのがオチだ。やめとけ」
 サスケの物言いは毎度冷静で容赦がない。
「んなのやってみなきゃわかんねぇだろォ!? 大体まだこんなちいせぇヤツが、この後どんだけ大きくなるかなんてお前にわかるわけぇ〜? 今はまだちっちゃいけどよ、少しずつでも光が当たるようにしてやれば、どれもみんなちゃんと大きくなれんだってばよ!」
 あぁ、それらを聞いたときの、何とも言えず楽しそうなイルカの顔ときたら。
 カカシはもうすっかり気配を消すことなど忘れ、その表情に見入ってしまったのだった。


 元々の性格もあるだろうが、サスケの考え方はカカシの影響が大きいと言えた。
 そしてナルトはイルカの影響を、より色濃く受けているようだった。
(いやー指導者って立場は、思ってたよりなかなか面白いもんですねぇ。思っていた以上に奥の深さを感じますよ。……ねぇ、イルカ先生?)
「なぁ、どっちが正しいんだよ、イルカせんせぇー!」
 子らに回答をせっつかれる中忍を、カカシは微笑ましげに眺めた。


「んっ、どっちの意見も一理あるいい考えだぞ! じゃあな、この小松菜が生えている場所を半分に区切って、今自分が言ったように実際にやってみろ」
 花束を抱えたままのイルカが、子供達の脇に立って言った。
「えっ、区切るって? なになに、両方ともやっていいのかよ?」
「あぁ、いいぞ。そしてここがどう変わっていくか、週末ごとにでも見に来い。どっちが正しかったのかは、その時自分の目で確かめて決めるといい」
「半分、全滅してもいいのか?」
「うっせぇ! 黙ってやれってばよ!」
「ほーら、ケンカしてないで早くしろ。カカシ先生が待って下さってるぞ?」

 カカシには、目の前で子らの手元を見守るイルカが『教師の醍醐味』を心から満喫しているように思え、その横顔が何故かことのほか眩しく感じられた。
 柄にもなく少し照れ、無意識に視線を逸らしてしまう。
 その視線の先…イルカの足元には、青虫が沢山付いた穴だらけのキャベツが育っている。
(あ…)
 途端カカシは、先程上がり框に腰掛けようとした時の事を思い出した。
 何気なく家の奥を見やると、書斎の襖が開いたままになっていて、イルカが今の今まで子供達のテストの採点や、日記の返事書きに熱中していた様子が容易に伺えたのだった。
 木戸を開けたときも、心なしか目元が赤かった。昨夜も遅くまで受付業務の残業をしていたはずだから、ひょっとしたら今まで殆ど寝てないのではないだろうか。
(一言、疲れているからと言ってくれればいいのに。無理しちゃって…)
 カカシは少し背を丸め、ポケットに両の手を突っ込んだまま、小さく肩をすくめる。
 今日何度目かの溜息をついた。

(イルカ先生、あなたまるでそこのキャベツみたいですよ。子供達にその身を黙って好きなだけ食わせて蝶にして、次々と空に放ってやってるね…。まぁでもあなたにとってはそれが何よりの喜びなんでしょう? で、オレはさしずめ、そんなあなたを何も出来ずに突っ立ったまま脇で見下ろしている、畑のカカシってとこですかねぇ?)
 イルカ達に気付かれないよう、顔をそらしてそっと苦笑する。
(まっ、仕方ない。カカシはカカシらしく、せいぜいキャベツを丸ごと持って行こうとする不届きな輩の方を見張ることにしますよ)
 子供らと同じ目線の高さまで座り込み、ぎゃいぎゃいに加わって楽しそうに話をしているイルカを、上忍は温かい目で見守った。




 その夜、四人で囲んだ鍋は予想通り大騒ぎだった。
「お前ら、もう少し落ち着いて食えんのか?!」
 カカシは何回叫んだ事か。
 しかし食べるだけ食べ、騒ぐだけ騒ぐと、子供達はまるで糸の切れた操り人形の如くコトリと寝入ってしまった。
 掘り炬燵で向かい合い、丸くなって眠りこける少年達の様子は、見ているほうが思わず笑ってしまいそうな程、穏やかで満足そうだ。
 イルカが奥の部屋から掛け物を持ってきて、そっと二人に掛けている、その姿を見ながらカカシが口を開いた。
「…ねぇ、イルカ先生?」
 言いながらイルカに猪口を持つように促す。
「はい、何でしょう?」
 酒が入り、いよいよ赤みの増してきたとろんとした目元で、イルカがこちらに振り向く。
 徹夜で疲れているせいか、いつもより酔いが早く回ってきているらしい。
(チャーンス!)
「いや…さっきの、間引きの話ですけどね?」
 上忍は早速切り出した。

「オレ達も…実はあの小松菜みたいに間引かれてるんですよね。気付いてました?」
 返杯された酒を舐めつつ、カカシが話を振る。
「…は…間引き? …俺達が、間引きですかぁ? んーと、えーと………あっ、わかった! わかりましたぁ〜!」
 一旦は赤く潤んだ目をきょとんとさせていたイルカだったが、急に何ごとかに思い当たったらしく、上気した上機嫌の表情が、更に明るく和らぐ。
「カカシ先生は、俺達が母親のお腹の中で生を受けた、いっとう最初の時の事を言ってるんでしょう? ねっ、正解でしょう〜?」
 ぴっと悪戯っぽく正面から指まで差され、カカシは瞬間、うっと答えに詰まる。
(ぇッ? …そっ、そうきますかぁ? いやっ…まぁ…、そりゃ確かに間違っちゃいないですけど……もしかして、もう既に相当酔ってますね? イルカ先生?)
 カカシは思い人が恥ずかしげもなく「当たりだ当たりだぁ〜」と勝手に喜んでいる様子を見て戸惑う。
「あ…えぇ…いや、確かにそれもそうなんですけどね…。ほら、忍はみな長い任務の中で強い者だけが生き残っていくでしょう? それはすなわち間引きでしょうよ。違いますか?」
 すると、向かいのイルカが急に神妙になり、静かになる気配がする。
 カカシは己の手の中にある杯の、透明な液体をじっと見下ろしながら続けた。
「私もあなたも、仰るように生を受ける瞬間から、既にそうやって数え切れない無数の間引きをくぐり抜けてきています。それでも尚、今ここにこうして向かい合って酒なんか酌み交わしてますよね? それってもしかしたら単なる偶然なんかじゃなくて、ほら…ね? 何だか運命的なもの、感じません? イルカせんせ………って、寝てるしッ?!」
 目の前には炬燵の天板に両腕をついて枕にし、微笑みながらさも気持ちよさげに夢の世界へと駆けていった思い人の、天使の寝顔があった。
 それを目の当たりにしたカカシは、今日一番の大きく長い溜息をひとつつく。
 続いて力無く、ゴンと額を天板に落とした。

 暫くそうしていたものの。
 カカシはきっちりと気配を消すと静かに立ち上がり、奥の部屋から持ってきた掛け物を、そっとイルカの背に掛ける。
 そしてふああと一つ欠伸をすると、改めてイルカの向かい側に座り直した。
 やがて彼と同じ格好で天板に突っ伏すと、その幸せそうな寝顔を、息がかかりそうな程すぐ間近で見つめる。
(――ねぇイルカ先生、わかります? そこに寝てる子供達ってね、今まさにあなたと私で一緒に育ててるんですよ? 何だかそれって…夫婦みたいだと…思いません…? ――だから…ね、早々に…間引かれてしまわないように……二人で大事に…育て…ましょ……ね……)

 部屋には規則正しい軽い寝息が四つ、密やかに織り重なる。

 夜はまだ、その役目半ば…。








                     「間引きの法則」  終



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