イイ男?
ええ好きよ。
だってイイんでしょう? 嫌いじゃないわよ、そりゃあ。
あぁでもそれが、必ずしも恋人にしたい、結婚したい男とは限らないわよ。
端で見てる方が断然面白い男って、いるものよ。
ふふふ、そうよ。
そういうものよ。
うふふふふ。
ここぞって時に、時々ちょっかい出したりしてね?
あ、誰のことかわかった?
そうそう、あの花屋の、オーナー。
ちょっといいじゃない。
ええ、ちょっと、ね。
え、なに? いやだ、妬いてるのあなた?
あっはははは!
ふふふっ…そういう顔も、たまにはいいわよ。そうよ、イイ男には、そういう表情も必要よ。――ぷっ…あはははは!
あぁ可笑しい。
最初に私が気付いたのは、ですって?
ほら、あの日。イルカが式の打ち合わせに来てくれた日よ。
あなたホントに、何も感じなかった?
イルカ自身はあの時、そんな素振りなんて全く、これっぽっちも見せやしなかった。けど、彼の人となりに接したら、「あらなに、この人じゃない!」ってすぐに納得しちゃったわ。
そうよ、消去法もなにも、他なんて考えられなかったもの。
ええ、そういうものよ。
そういうもの。
確かにカカシは、じれったいとこあるわね。
ああ、あなたもそう思ってた? ふふっ、そうよね。
でも男って、多かれ少なかれ誰でもそうじゃないかしら?
あら、当たっちゃった?
そういう時は、素直にさっさと認めた方がいいわよ。
イルカみたいにね。
誰かさんみたいに素直じゃないから、じれったくなるのよ。
まわりも、本人も。
え?
そういうのは、本当の「イイ男」とは言えないんじゃないかって?
いやだ、ひょっとしてあなた、カカシに妬いてるの〜?!
あぁんもう!
だ、か、ら、ー !
素直じゃないから、笑われちゃうの。
ただそれを見てるだけじゃ、じれったいのよ。
女はそういつまでも黙ってなんて、見てられないものなの。
重ねちゃうのよ。
いいも悪いもないわ。
そんなこと言ってるようじゃ、あなたもまだまだね?
まぁでも、いいわ。
イイ男も紅い花も、一日にして咲かず、よね。
はいはい、わかったわよ。
あっちはあっち、こっちはこっち。
楽しみにしてる。
楽しみにしてて。
約束よ?
「待つ間も花・番外 紅編」 了
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